【思想】 そは消えゆく

「美術品の作られた頃の色や形のままで見たい」ってのは、まあエゴだよね。

というのが、現在、香川県で3会場で連携開催されている「大竹伸朗展」の感想です。

 ・高松市美術館 大竹伸朗展 憶速
 ・MIMOCA 大竹伸朗展 ニューニュー
 ・瀬戸内国際芸術祭2013 直島/女木島

このうち、MIMOCAと高松市美術館をハシゴしてきました。


展示で特に目を引くのは、巨大立体コラージュ群。

旅行カバンに付けられるタグが張り詰められたミニライブステージ。
野外展示の際、作品の臭いに寄ってきたハエまで貼り付けられた展示ボックス。
ネオンとモニターでハデハデに飾り付けられた海の家。

どう見ても、「ガラクタを材料に作られた巨大なガラクタ」 てなかんじ。

その作品群の圧倒的な存在感は見ていて快感。
でも、よくある「ガラクタに新たな命を吹き込んだ」系ではないようだ。

んで、学芸員さんにいろいろ聞いてみたんだけど…


1件のプレハブほどもあるライブステージ。
発電機を載せたキャンピングカーまで併設された海の家。

それら大型作品は、10年前、20年前に制作され、
あるいはパフォーマンスに使われたままのモノで、
そのままの状態で保存され、今回、搬入されたとの事。

例えば彫刻作品には「再制作」って手法があって、
展示後に破棄されて現存していない作品も、
雌型が残っていれば同じ作品をもう一度作ることができる。

ところが、大竹さんの作品は、移動や搬入のために多少は分割されたろうが、
オリジナルがそのまま置かれ、傷むにまかされているという。

実際、ライブステージの自動演奏ギター(明和電機みたい)は、
本展示会の開催当初は学芸員さんなどが演奏していたものの、
だんだんとパーツが外れ、動かなくなったので、展示のみに切り替えたとの事。

言われてみれば、紙類を貼り付けた作品なども、
使ったボンドだかニスだかが劣化して、のきなみ茶色くなってしまっている。

もしかすると、あの作品やこの作品の一部が剥がれているのも、
作者の意図じゃなくて、接着剤がヘタったせい?

かといって、特に補修はされてない様子。

どの作品も、あと10年も経てば、本当のガラクタ、というかゴミになるでしょう。


と、そこまで見て思ったね。

ああ、これらはそれでいいのだと。

「ずっと見ていたい」なんて思う方が勝手なんだと。

演劇も音楽も「その時」が大事とかいうのに、美術品だけ永遠に残るなんて、
そんなの、こっちの思い込みだったんだね。

とか気がつくと、なんか、自分の中ですーっとしたものがありました。


なかなか気持ちの良い高揚感を感じられる作品展ですので、
足の届く方は、せめて1会場でも見に行かれてはどうでしょうか?

ちなみに、このネオンサインが立ったMIMOCAの展示が、
最新作を集めた展示のようです。

uwajima01.jpg

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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